書籍「Spring3入門」を献本頂きました

Spring3入門 ――Javaフレームワーク・より良い設計とアーキテクチャ

Spring3入門 ――Javaフレームワーク・より良い設計とアーキテクチャ

11/2発売なので、すでに入手されている方もいらっしゃるかと思いますが、表題のとおり、書籍 Spring3入門 Javaフレームワーク・より良い設計とアーキテクチャ を献本頂きました。誠にありがとうございます。実は本書にはレビュアーとして微力ながらお力添えをしており、ポジション的には中の人寄りだったりします。

本書は、前著の Spring入門Spring 2.0 入門 をベースにしつつも、全体の内容は刷新されています。改訂版ではなく、新たに書き下ろしたといってもいいほどです。昔と比べて Spring の記述スタイルが大きく変化したという見方もできます。
最大の特長は、なんといっても Spring 3.1 への対応でしょう。Spring 関連の書籍はもともとそれほど多くありません(いちフレームワークですから当然ですが)。その中で、Spring 3 関連の日本語による情報が体系的にまとめられ、検証された書籍という形で世に出ることの意味は大きいと思います。
また、2.5 で大幅な進化を遂げた Spring MVC 関連の情報を厚めに取っている点も Good です。ページ数でいうと90ページほど。目次や付録を除く全体のページ数が440ページほどですから、全体のうち実に20%のボリュームを占めているのです。実際、それだけのページ数をかけるだけの情報量になっています。もちろん Spring 3.1 でサポートされた RedirectAttributes@Validated にも対応していますよ。
これまで書籍や Web での情報がほとんどなかった Spring Web Flow についても触れられています。40ページ近くを割いて丁寧に解説されていますので、知識ゼロの方の足がかりとして十分な内容でしょう。
逆に、書かれていないこととしては

などが挙げられます。Hibernate 4.x サポートは、Spring 側も 3.1 リリース直前にぎりぎりで入れてきた新機能で、本家ですらドキュメンテーションが追いついていないため書籍での解説は見送ることにしたようです。Java-based Configuration は、それほど重要な機能ではないですし、著者たちが想定する一定規模以上の開発においては使われることは少ないでしょうから、見送ったのだと考えられます。Spring Security の解説がないのは少し残念ですが、これをきちんと解説すると少なく見積もっても50〜60ページは追加で必要になるでしょうから、書籍の分量から考えても難しかったのかもしれません。意欲的な読者の方は、本書で得た知識をベースに自力でマスターしましょう。


というわけで、バリバリの Spring 3.1 ユーザーにはちょっと物足りなさがあるかもしれませんが、

  • これから Spring 3 に入っていこうとするユーザー
  • プロジェクトで Spring 3 を何となく使っていたけど、これを機にきちんと勉強し直したいユーザー
  • Spring 自体初めてなユーザー

には最適な入門書となっています。どうぞお試しあれ。